Seethaは、マーティン・ウィクラマシンハ(Martin Wickramasinghe、1890-1976)の初期の長編小説の一つで、Iranganiと同じ1923年に初版が刊行されました。本書はシンハラ語版です。
本書は、ウィクラマシンハの歩みのなかで特別な位置を占めています。二作目と三作目の長編小説SomaとIranganiは、当時流行していた感傷的なロマンスで、すぐに売り切れました。自伝的な著作のなかで、彼はSeethaをこれらとは別のものとして扱っています。Seetha、Miringu Diya(1925)、そして短編集Geheniyak(1924)は、素朴な物語を書くことから自らを解き放つために書いたものであり、それらを通して、シンハラの暮らしについての自分自身の経験にふさわしい語りと描写の文体を築いた、と彼は述べています。先立つ二作のロマンスとは違ってSeethaは売れ行きが振るいませんでしたが、それでも以前の型に戻る気にはなれなかったと彼は書いています。
批評家たちはSeethaを過渡期の作品として読んでおり、そこではより真剣な主題が、メロドラマの約束事のなかにまだ居心地悪く収まっています。研究者サラトチャンドラ・ウィクラマスーリヤは本作を、女性の生き方とその道徳的価値に共感を寄せるという共通点をもつ、1920年代初めのウィクラマシンハのほかの長編小説とひとまとめにしています。著者は数十年後にこの作品に立ち返り、1959年に刊行された版のために新たな序文を書きました。
1920年代のウィクラマシンハの長編小説のあとには、Gamperaliya(1944)までの長い空白が続きますが、Seethaには、その後年の作品のリアリズムへと向かう最初の一歩が表れています。彼の作家人生を順を追ってたどり、成熟した文体の出発点を確かめたいシンハラ語の読者におすすめです。
- 著者: Martin Wickramasinghe
- 刊行年: 1923
- 言語: シンハラ語



