エッレ(එල්ලේ)は、スリランカ固有のスポーツの中でも最も古いもののひとつです。島にクリケットが伝わる何世紀も前から行われてきたバットとボールの競技で、20世紀半ばの長い期間、この国の国技とされていました。国際舞台ではクリケットやラグビーほど目立ちませんが、エッレが消えたことは一度もありません。今も島じゅうの村の広場、学校の校庭、大学のキャンパスでプレーされており、現代のスポーツにはなかなかまねのできない共同体の一体感を伝えています。
エッレの起源は?
歴史的な記録や口承によれば、エッレの始まりは2,000年以上前にさかのぼり、南アジアで最も古い、ルールの定まった球技のひとつとされています。この競技は特に農村の共同体で盛んになりました。収穫期のあとには広い土地がいくらでもあったからです。1960年代から1980年代にかけてエッレは最も注目を集め、その時期にはスリランカの国技として公式に認められていました。その文化的な地位は、キューバにおける野球や、メソアメリカの伝統におけるスティックボールの役割にほぼ匹敵します。つまり、ある民族のアイデンティティを刻み込んだ競技なのです。
名前そのものは、競技の中心となる道具を表す、棒や竿を意味するシンハラ語に由来すると考えられています。植民地時代の影響で廃れた多くの土着スポーツと違い、エッレが生き残った理由のひとつは、道具がほとんど要らず、開けた場所さえあればほぼどこでも即座に試合ができたことにあります。
エッレはどのようにプレーするのですか?
標準的なエッレの試合は、16人ずつの2チームで行われます。競技の核となるのは、打者、投手、野手という3つの役割です。この構成のおかげで野球にたとえるとわかりやすいのですが、ルールには重要な違いがあります。
- 投球:投手はボールを打者に向かって下手投げで投げます。
- 打撃:打者は丈夫な竹の棒でボールを打ちます。打者はそれぞれ、ボールに当てるまで最大3回試すことができます。
- 走塁:打つことに成功したら、打者は4つの「ストッピング」(塁のような位置で、それぞれ約55メートル間隔)で区切られた長方形のフィールドを一周しなければなりません。一周すると攻撃側のチームに1点が入ります。
- アウト:野手がボールを地面につく前にしっかり捕球した場合、または走者がストッピングの間を移動している最中に、野手がボールを走者に当てた場合、打者はアウトになります。
試合は通常、平らで開けた地面で行われ、両チームの力が拮抗していると数時間続くこともあります。村のエッレの試合を取り巻くにぎわいは、勝負そのものと同じくらい大切です。観客は境界線沿いに集まり、試合はしばしば地域の気軽なお祭りを兼ねています。
エッレはスリランカの文化の中でどんな役割を果たしていますか?
エッレは、スリランカの農村の暮らしに深く織り込まれています。伝統的に、試合は稲の収穫後の数週間に行われました。田んぼが空き、人々に集まる場所と余暇の両方があったからです。この競技は村どうしの絆を強め、村対抗の試合は友好的な競い合いのための中立の場となっていました。
この共同体としての側面が、エッレを純粋な競技スポーツとは異なるものにしています。現代の陸上競技やスポーツを席巻するプロリーグとは違い、村のエッレの試合に正式な審判がいることはまれで、もめごとは選手たちの合意で解決されます。ほかの土着スポーツが消えていく中でこの競技が続いてきたのは、おそらく、みんなのものだというこの精神があるからでしょう。
エサラ・ペラヘラ祭などの文化行事では、ときにエッレの実演が行われ、スリランカの生きた伝統行事の暦の中でこの競技の位置づけを強めています。農村部の学校や仏教日曜学校でも、子どもたちに協力して遊ぶことや共同体の価値観を教える手段として、昔からエッレが使われてきました。
エッレは今日どのように受け継がれていますか?
エッレを保存し普及させるための公式な取り組みは、ここ数十年で勢いを増しています。スリランカ大学スポーツ協会は大学対抗のエッレ選手権を開催し、若い世代にも魅力的な競技の枠組みを与えています。北中部州やサバラガムワ州などの州スポーツ評議会も大会を開き、地元から多くの参加者を集めています。
草の根の取り組みも同じくらい重要です。多くの農村地域では、地元のスポーツクラブが、特に4月のシンハラ正月の前後に、エッレを季節の恒例行事として続けています。宗教的・文化的な行事とともに伝統的な遊びが行われるのが一般的なシンハラ・アウルドゥの祝いは、毎年エッレにとって自然な舞台となっています。
エッレが直面している課題は、世界中の多くの土着スポーツにおなじみのものです。世界中にテレビ中継される競技と注目を奪い合わなければなりません。しかし、竹の棒とボールと開けた場所さえあればよいという簡素さこそが、意志さえあればどこでも復活のハードルを低くしています。
エッレは野球やクリケットとどう違いますか?
| 項目 | エッレ | 野球 | クリケット |
|---|---|---|---|
| チームの人数 | 1チーム16人 | 1チーム9人 | 1チーム11人 |
| 打つ道具 | 竹の棒 | 木製/複合素材のバット | ヤナギ材の平たいバット |
| 投球の方法 | 下手投げ | 上手投げ | 腕を伸ばした上手投げ |
| 得点の単位 | ラン(一周) | ラン(一周) | ラン(ウィケット間) |
| 道具の費用 | 非常に安い | 中程度〜高い | 中程度〜高い |
| 国際統括団体 | 現在はなし | 世界野球ソフトボール連盟 | 国際クリケット評議会 |
スリランカを訪れる旅行者はエッレを見たり、プレーしたりできますか?
エッレの試合を目にするには、タイミングと、観光ルートから外れて足をのばす意欲が必要です。最も確実な機会は、4月のシンハラ正月の時期と、ときおり州都で開かれる学校対抗や大学対抗の大会です。村の試合は、乾季の数か月間、島じゅうの農村で自然発生的に行われます。
たとえばポロンナルワ周辺など、文化の中心地を巡る旅行者は、主要な遺跡だけに旅程を限らず小さな村で時間を過ごせば、エッレを含む農村のスポーツに出会える可能性がかなり高くなります。地元に詳しいガイドを通じて農村訪問を手配すれば、本物の出会いのチャンスは大きく広がります。
参加はたいてい歓迎されます。ルールは一度の実演で理解できるほど簡単で、地元の選手たちは好奇心旺盛な訪問者とこの競技を分かち合うことに熱心です。
エッレがスポーツ以上の意味をもつのはなぜですか?
世界のスポーツが商業リーグと巨額の放映権に支配される時代にあって、エッレはますます珍しくなったものを体現しています。完全に地域の人々のものである競技です。フランチャイズのオーナーも、移籍金も、入場料もありません。エッレが存続していること自体が、静かで、おおらかで、いかにもスリランカらしい、ひとつの文化的な抵抗なのです。
ビーチや寺院の先にあるスリランカを理解したい人にとって、エッレは、ほかの体験ではなかなか得られない、島の社会のありようをのぞく窓となります。スポーツはテレビの視聴者のためではなく、その場に集まった人々のために生まれたのだということを、エッレは思い出させてくれます。